ワインストーリー
親しみやすいフルーティーな味わい「おたるシリーズ」
北海道ワイン株式会社の本社醸造所で造られる数々のワインの中で、北海道民の皆様に広く親しまれているブランドが「おたる」シリーズです。地元では会社の名前を『おたるワインさん』と呼んでいただくこともあります。おかげさまでそのラベルは酒屋、百貨店、スーパーなどの量販店のほか、近年はコンビニでも地元定番ワインとして広く目にする機会が増えてきました。
当社は創業より一貫して、100%日本産葡萄を原料に、ワインの銘醸地であるヨーロッパの伝統製法に基づき、どのブランドにおいても高品質な非加熱の生ワインを造り続けておりますが、その中でも、ワインをより身近に楽しんでいただけるよう、親しみやすい味わいと、気軽に楽しんでいただける価格帯で展開しているブランドの一つが「おたるシリーズ」です。
親しみやすさ、味わいの秘密
ワインは、その原料となる葡萄品種により味わいが決まります。「おたるシリーズ」では主に「くだもの」として果物店やスーパーの果物コーナーに並べられる季節の生食用葡萄が原料として用いられています。食べなれてきた日本の葡萄の香り、味わいをワインでも表現したことにより、ワイン愛好家ではなくても気軽に楽しめる秘密がそこにあります。
果物として北海道内の店先でも目にする機会が多い代表的品種としては、「ナイヤガラ」「デラウェア」「ポートランド」「キャンベル」「バッファロー」などです。それらは品種単独で仕込むだけではなく、複数の葡萄をブレンドすることで、よりふくよかな味わいを醸しだすこともできます。また、ワイン専用品種の葡萄とのブレンドを行うことも珍しくありません。それは日常的にヨーロッパの輸入ワインを楽しまれている方々にもご好評をいただく味わいとなります。
中でもナイヤガラ葡萄(ナイアガラとも表記されます。Niagara)は、北海道では古くから栽培されている葡萄品種で、北海道ではお盆を過ぎるころから地物が最盛期となり、日ごろから口にすることの多い葡萄です。また、華やかなナイヤガラの香りは道産子にとって慣れ親しんだものです。
薄い緑から黄緑色の皮で、適度な酸味と甘みがあり、マスカット的な香りを持つのが一般的な特徴ですが、葡萄栽培には北海道の夏場の気候の特徴である日中と夜間の寒暖差が良い影響を及ぼしていると考えられ、北海道外で栽培されるナイヤガラ葡萄に比べてより濃厚な香りを放ち、甘み・酸味のバランスが絶妙です。また、当社のすべてのワインの醸造で貫かれている、ヨーロッパのワイナリーが伝統的に用いる『醸造過程において加熱を行わない方法』は、葡萄本来の味や香りが確かに反映される一因といえます。
この香りと味わいを活かして造られた「おたる特撰ナイヤガラ」「おたるナイヤガラ」「おたるナイヤガラスパークリング(発泡性のワイン)」など、ナイヤガラから醸造されたワインは地元北海道民のみなさまのご愛飲に留まらず、北海道物産展や北海道の土産店では「特産品」「お土産」としてもご好評いただいております。おかげさまで今では北海道発・全国の皆様に愛される品種のワインとなりました。
商品画像クリックで、オンラインショップページへ移動できます
すべてのおたるシリーズコーナーへはこちらから >>
「おたるシリーズ」の歴史
おたるシリーズの始まりは、北海道ワインの歴史と重なります。 北海道ワインは1974年に設立し、様々な困難を試行錯誤と多くの人の援助により乗り越え、1980年に第一号ワインを出荷しました。自社農場「鶴沼ワイナリー」で収穫された「ミュラー・トゥルガウ1979」です。これが、のちに石狩・北海道を経て、現在の「鶴沼」シリーズへ続くワインとなります。
一方、1979年に小樽市の塩谷農協から「くだもの」葡萄であるキャンベルアーリが運び込まれます。このキャンベルアーリで醸造されたものが、「おたるロゼ」として発売されます。現在に続く「おたるシリーズ」の始まりでした。

この画像は、1979年に税務署へ提出したラベルの写しです。(現存するワインは残っておりません)
北海道ワインは、会社設立の意義として「葡萄生産者」との共存共栄を社員手帳に掲げています。
1997年、テレビでの「赤ワインのポリフェノールが体に良い」という紹介を機に、空前の赤ワインブームが発生。しかし、そのブームが収束した2000年、葡萄農家は大量の過剰在庫を抱えることとなります。山梨の葡萄農家に生まれた創業者嶌村彰嘉は、葡萄生産者と北海道ワインは一心同体との思いより、全国の葡萄農家が抱えた行き場のない葡萄も含め3615tを受け入れました。ちなみに、現在の北海道ワインの葡萄入荷量は年間2500t前後であり720mlの瓶換算で250万本。およそ4割り増しの入荷量でした。
このように長年の信頼関係があり、多くの葡萄生産者の方々が手塩にかけた高品質な葡萄を育て、毎年小樽の醸造所に送り出して下さっています。現在、本州産葡萄も含め多くの葡萄が「おたるシリーズ」の原料となり、その葡萄から生まれたワインは、全国にそして近年は海外でも楽しまれています。
「おたるシリーズ」主要アイテム
現在のおたるシリーズは、親しみやすい味わいの生食用葡萄を原料とするデイリーワインから、日本や世界のワインコンクールで金賞はじめとする上位賞を受賞する高級品種ワインまで多岐にわたります。ここにその一端をご紹介します。
スタンダードシリーズは、「おたるナイヤガラ」や「おたる赤」「おたるキャンベルアーリ」などの、毎日でも気軽に楽しんでいただきたい日本ワインです。比較的新しいアイテムの「おたる 白・辛口」「おたる 白・甘口」「おたるナイヤガラ・辛口」も白ワイン志向が高まる中、安定した人気があります。
特撰シリーズは、厳選された高品質な葡萄の果汁を凍結して抽出した香り高く濃厚な味わいのジュースをワインに加えて造られたコクのある甘口ワインです。「特撰ナイヤガラ」「特撰キャンベルアーリ 赤」「特撰キャンベルアーリ ロゼ」は、濃厚でいて上品な甘さ・酸味・コクが忘れられない味わいとリピーターも多い人気ワインです。
スタンダード&プレミアムシリーズ
商品画像クリックで、オンラインショップページへ移動できます >>
特撰シリーズ
今までも、これからも
ワインは農業生産物であり、それは農業が抱える様々な問題と直結しているとも言えます。世界的な気候変動の影響と思われる北海道に適した葡萄樹の移り変わりや、葡萄生産者の人手不足・後継者問題など、簡単には解決できない多くの問題に直面しています。これまで北海道ワインは契約生産者からの安定的な原料買取りや、新規参入の方々等に対する技術指導を行ってきましたが、これからもこれらの取り組みは継続していきます。北海道のワイン業界の発展にも積極的に寄与していきます。
ワインに対する思いは創業当時とかわらず、「日本産葡萄で作る本物の日本ワインを提供する」、それは、これからも変わることのない北海道ワインの思いです。